八ヶ岳 「ペンションあるびおん」の日々 : 水の都 蘇州へ

Feb 27, 2010

水の都 蘇州へ

 朝はホテルのバイキングです。流石中華粥と肉まんの皮だけの中華パンが蒸したてで美味しい。
今日はバスで移動して蘇州観光です。朝から雨が降っています。行く途中段々激しくなってきます。バスの運転は荒く、大きな穴にも段差にもスピードを落とさないで突っ込んでいきますから、時々身体が大きく浮上します。急ブレーキが掛かり、ガイドさんが「今轢かなかったよね?」とお客さんに聞いています。おーー恐い。
 上海の西86キロの所に位置する蘇州は、中国の東海岸で揚子江の下流に当たる平野部です。かってマルコ・ポーロに東洋のベニスと称えられる美しさを、2500年も前から守り続けている古都です。当時は運河の水も清んで綺麗だったのでしょうか。今はアジア特有の川の色になっている運河ですが、その両側に ひしめく白壁の家々、柳の木、細い路地は霧に霞むとモノトーンの山水画のようで、古の時代へタイムスリップしたような景色です。
水の都 蘇州の写真
蘇州には世界遺産に指定された多くの庭園がありますが、今日は小さな古典園林「藕園(ぐうえん)」に。ここは総督代理の沈秉成が退官後、夫人の厳永華とともに蘇州に移り、隠居する際、 この庭園を買いとったそうです。「藕園(ぐうえん)」には夫婦二人が隠居して、仲むつまじく暮らすという意味合いがあったとか。 こぢんまりとした園内は屋根付きの廊下のようなもので建物と建物が結ばれており、たとえ雨が降っていても濡れることなく建物から建物へ移動できる様になているのは、とても合理的であり、その廊下からは庭園を鑑賞しながら移動できる・・・庭園を含めて一つの大きな屋敷のようです。こんな風に素晴らしい庭園と密着して暮らしていたなんて、なんて素敵な暮らしだったのでしょう。その優雅な暮らしに思いを馳せるひとときでした。さっきバスの中でガイド さんが「雨が降っていても、傘は2人に1本で良い」と言った理由が分かりました。
藕園の写真
 次はこれも世界遺産に指定された寒山寺。中唐の詩人で政治家でもあった張継の七言絶句
「楓橋夜泊」 によって広く知られている。
『月落烏啼霜滿天,
江楓漁火對愁眠。
姑蘇城外寒山寺,
夜半鐘聲到客船。』

意味は月は西に落ちて闇のなかに鳥の鳴く声が聞こえ、厳しい霜の気配は天いっぱいに満ちている。運河沿いに繁る楓と点々と灯る川のいさり火の光が、旅の愁いの浅い眠りにチラチラかすめる。そのとき姑蘇町はずれの寒山寺から、夜半を知らせる鐘の音が、私の乗る船にまで聞こえてきた。と言うことです。
また、このお寺で除夜の鐘を聞くと10年は長生きできると言われ、大晦日はそれを聞く人で賑わうらしい。私たちは中国の旧正月に聞くことが出来たので、これもまた長生きできそうだけど・・・
 昼食はもちろん蘇州料理。蘇州料理と言えば「松鼠桂魚」。桂魚に切り込みを入れ、松鼠(リス)の形にしてから揚げて、甘酢のあんかけで仕上げたもの。カリッと揚げたお魚は甘酢あんかけと良くあって美味しいかったです。


 午後は山塘街を自由に歩きます。鶏やアヒル、スズキやうなぎなど中華料理の材料が生きたまま売られており、餅米粉で作ったおだんご屋さんは人気店らしく長蛇の列。中華菓子が綺麗に並べられた屋台では主人が「買って、買って」とねだりますが、娘と私は却下。ツアーの皆さんは買って美味しいといっていました。買って上げれば良かったかなー? 民は食を持って天となす。売っていた食材の写真


 路地を抜け、私たちは船に乗って次の場所まで移動します。水路の両側の家々は、各家から水路への階段があり、そこで野菜を洗ったり、洗濯をしたりしています。そこには水郷地帯の人々の生活がそのまま今も続いていました。



蘇州の人々・生活の写真
 この後は夕暮れの蘇州を後に、一路上海へと戻りました。車窓からはウェディングドレス屋さんが軒並み見えます。刺繍やシルクで有名な蘇州にはウェディングドレス屋さんが多く、各地から買いに来るそうです。そういえば刺繍研究所で見た刺繍作品は、本当に精巧な芸術品でした。
 蘇州は「楓橋夜泊」にあるような旅人に旅愁を感じさせる街であり、ふっと橋に上に佇めば『上海夜曲」のように、恋の切ない思いが湧いてくる雰囲気のあるところだと、行ってみてはじめて知りました。開発の進まないうちに、このあたりの街々をもっとゆっくりと歩いてみたくなりました。