夕べは寝ようと思った途端、紅玉を煮る事思いだした。このような仕事は昼間の時間を割くのはもったいない。この夜を逃すと一寸忙しく煮る暇が無い。
そうだ、西田敏行さん追悼『浅田次郎ドラマSP「琥珀」』を録画してあったのでそれを見ながら、リンゴの皮を剥き、煮てしまえばいい!
浅田次郎シリーズは大好きですが、本当に久しぶりに見た浅田次郎、西田敏行コンビはとても素晴らしかった。
停年直前の米田(西田敏行さん)がある紀行分を読んで、25年前の未解決事件を思い出し、残った有給休暇を取って、紀行文にのっている富山県魚津にある『琥珀』という喫茶店を訪ねるところから始まる。全編を通してほとんど西田敏行さん、鈴木京香さん、寺尾聰さんの3人だけで、そのほとんどがレトロな喫茶店の中。それぞれの人生を背負って生きている3人の会話の中に流れる切ないピアノ・・・
悲しい話しで、最後も悲しいけれど、でも涙は出ない。心がホットする浅田ドラマです。
秋の夜長にリンゴを煮ながらみるのにふさわしいドラマでした。
珈琲、喫茶店・・・それは私の中では=父である。戦前、父は関内、野毛などでレストランやジャズ喫茶を開いていたようで、疎開で店を畳み、空襲で全てを失った店の楽しかった話や良く来てくれた有名人のエピソードを話してしてくれました。
私は全く知らない時代の話しですが、人生をとおして珈琲と音楽をこよなく愛していた父の話は大好きでした。
味にうるさく、子供の頃から大人の行く横浜のレストランに家族を連れて行き、女の子は美味しいものを食べて味を覚えなきゃいけないと・・・
琥珀を見ていると、私の知らない父の若き日のマスター姿、お店を想像させる。52歳で、これから父の趣味を楽しめる・・と言う時にあっという間に逝ってしまいました。
でもこのドラマのお陰で、素敵な秋の夜を過ごせました。