興福寺と元興寺の間に目立たないけれど、美味しそうな和菓子屋さんを見つけました。朝が早かったので春日大社に行く前に、少し戻ってここのお店で和菓子を頂くことに。ここから春日大社までは一の鳥居を通って、奈良国立博物館を横切り大仏前のバス停に出ました。奈良市
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参道の石灯籠 |
内は交通量は多いものの、町中が公園のように至る所に緑があふれ、芝の上には奈良名物の鹿が戯れています。こののどかさが奈良に来てしまう魅力なのでしょう。春日荷茶屋(かすがにないちゃや)を横目で見ながら春日大社へ。ここの背後の原生林が世界遺産になってるだけに、参道の木々も立派な古木が多く、その足下には苔むした石灯籠が並んでいます。また本殿の回廊を見ると釣り燈篭がずらり。合わせると数千基にのぼり、これ
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本殿の釣り灯籠 |
らが庶民の寄付によるものがほとんどとか。信仰の厚さが窺えます。「砂ずりの藤」で有名で、神苑にも沢山の藤があるといわれる春日大社だからでしょうか、巫女さんはみんな藤のかんざしを前髪のようにつけています。今度は藤の時期に来てみたいものです。 |
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さてそろそろお腹もなってきました。行きに横目で見ておいた春日荷茶屋で『大和名物膳』を頂きます。メインの万葉粥は白みそ仕立てで具は季節により変わるようですが、今日はヨモギと竹の子。付け合わせはメニューの写真では柿の葉寿司だったのですが今日は古代米のおにぎり。厚焼き卵やこんにゃくの鉄砲漬けなどが付いて1580円。白みそと感じないほどの薄味なのですが、おかゆにこくがあるのはやはりお味噌のせいでしょうか。 |
昼食後は奈良公園を抜けて3月堂、2月堂へ。奈良と言えば鹿、鹿と言えば鹿せんべい。これを持っている人は執拗に付いていくが、持っていない人には見向きもしない。710年春日大社を創建する際に鹿島(茨城県鹿島神宮)から勧請した神が白鹿に乗って春日山に入ったという言い伝えから、神の使いとして大切に保護されてきたそうです。雄の鹿に生えている角ですが、今はまだ袋角と言って柔らかく血が通っています。見るからに柔らかそうです。これが8月頃から骨化して固くなり危険なので、秋口に角切りをします。
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また賑やかな子供達の声が聞こえてきます。小学生や修学旅行生で溢れる二月堂です。舞台作りの本堂の上にも沢山の沢山の子供達。そんな賑わいの中で写真を撮っていると、私たちが主人が二台、私が一台とカメラを提げているからでしょうか、地元の方らしい男性が「こちらにいらっしゃい、普通の人がとらない写真が撮れますよ」と二月堂の裏手へと導いてくれました。そこからは木々の間から二月堂の向こうに大仏殿が見えたり、興福寺の五重塔が見えたりするポイントでした。ご親切ありがとうございました。ここで写真を撮り終えて二月堂に戻ると、さっきの賑やかさは嘘のように消え、ほとんど人の居ない本殿を見ることが出来ました。こんな空白の時間もあるものなのですね。三月堂を見て、四月堂は素通り。みんなに素通りされる四月堂・・・ごめんなさい。大仏殿の前に早くに閉まる正倉院へ行って来ます。ここも修学旅行生が一杯。でも一緒に説明聞いたりして便利なこともあるのです。今の私たちはまだ奈良を訪ねてもゆっくりと宝物展や特別拝観の全てを見る余裕がありませんが、一通り見終わったら、今度は博物館や特別展を廻ってゆっくりと仏像や彫刻、絵画の勉強もしてみたいものです。
さていよいよ奈良・東大寺の大仏様にうん十年振りにご対面します。中学の修学旅行とはただ賑やかに騒いで楽しかった思い出だけで、青空に金色の鴟尾(しび)を輝かせた大仏殿を前にしても全くここに来たことさえ思い出しません。まだ小さな身体で見た大仏様はさぞ威圧感があっただろうに、それすら鎌倉の大仏様と区別が付かない有様。聖武天皇の国民に「一枝の草、一把の土」の結縁をうったえ、自主的に造営に関わることの呼びかけにより天平17年(745)から始まった造営は天平勝宝4年(752)に大仏開眼供養が行われ、同時に二月堂建立後のお水取りも始まり、先ほど行った二月堂ではそれから1200年以上一度も欠かすことなくお水取りの法要が執り行われているようです。もともとは旧暦の2月1日から2月14日に執り行われていたので「二修会」とも言われていますが、今は3月1日から3月14日まで行われています。春に私たちは薬師寺でこの二修会に参加することが出来たのですが、一度は東大寺・二月堂のお水取りも見てみたいものです。でも凄い人出だそうです。
日本一大きな大仏様の正式名はとても難しく毘盧遮那(びるしゃな・ヴァイローチャナ)仏。工事に携わった人の数は延べ260万人余といわれ、鋳造に使われた銅は499t、メッキに使われた金は440kgとか。1.02mの目は毎日毎日途切れることなくここを訪れる人々を1200年もの間見続け、2.54mの耳は人々の声を聞き続けているわけですね。閉館後、静かになった大仏殿でお一人で憂いたり、喜んだり、心痛め慈悲の涙を流したりしていらっしゃるのでしょうか。
良く歩いた一日です。これからJR奈良駅まで奈良の町を歩き今夜のホテルへと向かいます。今夜のお夕食は月日亭で茶粥膳。 |