八ヶ岳・小淵沢のペンションあるびおんによる宝剣岳登山記

千畳敷カール（２６１２ｍ）〜宝剣岳（２９３１ｍ）登山

2003.09.03（水）

中央道で駒ヶ根ＩＣへ。そこから菅の台バス停まで行き車を置く。駐車場料金４００円と２人のバスとロープウェイ代（往復）で丁度８０００円。エッと思うけれど、これで８００ｍのバス停から2611.5mの千畳敷カール まで連れて行ってもらえると思えば安いもの。バスは昔と変わらずくねくねとした細い道を長い車体を上手く操ってしらび平駅（1661.5m）へと向かいます。前に来たときは未舗装で、ガードレールもあまりなく、路肩が崩れて今にも落ちそうで、もの凄くヒヤヒヤした覚えがありますが今は舗装されています。ここで高低差950m（日本最高）の駒ヶ根ロープウェイ（TEL0265-83-3107）に乗り換えて千畳敷へ。１０００ｍ近い標高差をたった８分で登ってしまうのです。

眼下には険しい流れや深い谷があり、垂直に近い壁も見えます。これを麓から登ったらどれだけの時間がかかるのでしょう。やがて千畳敷駅に到着です。下では晴れていたのですが、ここは霧が流れていたり雲が懸かったり、晴れたりのお天気で気温は１７，８度でしょうか。上着を着たくなる気温です。駅から外にでるとあの雄大な千畳敷カールが広がっています。ここでカールを眺めながらおにぎりを食べて宝剣岳に向かいます。

信州駒ヶ岳神社にお参りして八丁坂に向かいます。９月だというのに思いもかけないほどの高山植物。ミヤマキンバイ、シナノキンバイ、チングルマ、ウサギギク、ミヤマダイコンソウなどの黄色の花、トリカブト、タカネグンナイフウロ、チシマギキョウ、ヨツバシオガマなど紫の花、ヤマハハコグサ、イワツメクサ、エゾシオガマ、トウヤクリンドウなど白い花が咲いています。もう私達はこの花達に夢中で、足が前に進みません。「今日はこれだけお花が見られたから宝剣まで行かなくても良い」が２人の本音でした。でも写真を撮りつつでも歩を進める内八丁坂を登り始めていました。夏中の運動不足が祟ってこの胸突き八丁は辛い。「前に来たときこんな坂登ったかしら？」と思うほど、記憶がないのです。やがて乗越浄土に着きました。ここは木曽駒ヶ岳、宝剣岳、伊那前岳などの登山ルートの分かれ道になっています。左手・宝剣岳は薄霧の中です。どうしようか迷ったのですが、折角ここまで来たのだから登ることにしました。ここからは本格的に岩登りです。ハイマツや岩の間にコケモモの赤い実がルビーのよう。ミヤマダイコンソウの葉っぱも紅葉しています。岩場は木曽側に深く切れ込んでおり、鎖を伝って注意深く登っていくのです。

ここでも「昔こんな険しい所登ったかしら？」と首を傾げていたのですが、家に戻って古いアルバムを開いてみたら、全く同じ場所の写真がありました。記憶とは曖昧なものです。

宝剣山頂まではあまり人が登らないのか、さっきまでは多くの人がいたのにほとんど人に会うことがなくなりました。やがて小さな祠のある山頂に到達。でも周りは霧で景色が見えません。記念写真を撮って下ろうとしたときです。急に霧が晴れ、周りの景色が見え始めました。ラッキーです。こうしてすばらし景色を見ると登りの苦しさを忘れてまた山登りに来てしまうのです。今日は時間もないので同じ道を降りる事にしました。登りは足下の花に目を奪われたり、苦しかったりでしたが、下りはカールのお花畑を眼下に見ながら、雄大な景色を堪能しながらゆっくりと降りました。思い立って出てきた登山でしたが、たくさんの花々に迎えられ、宝剣の岩場ではスリル有る登山を楽しめました。まだ２０代の時には高山植物にもそれほど興味がなかったのか、この時期よりもっとお花が咲いているはずの８月に登ったのにお花に感動した記憶がないのです。また今日は結構スリルと不安を感じた岩場も全く記憶にないのですから、きっとそれほど恐怖心もなくホイホイと登ってしまったのでしょう。若さとは凄いものです。ですから同じ山でもこうして時を経てまた登ってみるのも良いものです。

写真をクリックすると大きくなります。
宝剣岳から木曽側を望む		伊那前岳方面
宝剣岳から中岳・木曽駒岳方面		宝剣岳下山途中。向こうは中岳
乗越からカールを望む		伊那前岳
ミヤマグンナイフウロ		八丁坂
カール		ミヤマキンバイ

花の写真はこちらで

千畳敷カールの花々　�T

千畳敷カールの花々　�U

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