さて、今日の一番目的は柴又です。寅さんの故郷へと向かいます。小さな駅を出ると、もうそこは下町の雰囲気、寅さんの雰囲気です。でもごみごみしていなくて、ゆっくりと雰囲気を味わうことが出来ます。
まずは「くるまや」のモデルとなった高木屋でお団子頂かなくちゃ。
お団子とおでんをいただき、大徳でたらこの佃煮とくるみの佃煮を買い帝釈天に。
二天門をくぐると、正面に瑞龍の松と帝釈堂が見えてきます。
どこも彫刻が素晴らしく、意外に見所の多いお寺でした。ゆっくりと見ていたのですが、夕暮れが迫り、矢切の渡しが終わってしまいます。山本邸を抜けていくと早いですよという言葉を頼りに江戸川に向かいます。土手に出ることには陽も傾きはじめ、渡し船が対岸を離れこちらに向かうところが見渡せました。さー船着き場に急ぎましょう。でもそこへ着くと「本日の終了4時」という悲しい張り紙。でも船を戻るのを待ってお願いしてみることに。
船が着くと船頭さんが「乗る?」と聞いてくれ「乗りまーーす!!」と答えました。3人で貸しきりの「矢切の渡し」です。雲一つなくなった空は茜色に染まりつつあり、凪いでる川面は鏡のように風景を写し、ギーコーーギーコーという櫂の音と野鳥の鳴き声だけが江戸川に響きます。本当はもっと車や町の騒音も聞こえているのでしょうが、この景色の中にいると不思議と耳に入りません。遠くスカイツリーも夕日に染まっています。
対岸にはおりずに船は引き返しますが、帰りはエンジンで走り、その代わり金町浄水場の方まで遊覧してくれました。
土手を歩いて帝釈天に戻る途中、柴又のシルエットの向こうに夕日とスカイツリーが。
それに見とれていたのですが、主人が富士山を発見。それも燃えている富士山です。まるで山火事を起こしているようです。こんな富士山を見たのは初めてです。
すっかりと暗くなった帝釈天に戻ると太鼓の音が。町並みの方から纏と太鼓の小さな行列が帝釈天に向かってきました。
主人の最後の楽しみは創業1770年の川千屋で鰻をいただくことです。私は鰻よりお刺身。でもちょっと横取りした鰻も美味しかったです。
半日の柴又歩きでしたが、町の匂い、町の喧噪、御神水の水の音、梵鐘の音、そして江戸川の矢切りの渡しの櫓をこぐ音、川面をわたる鳥や風の音、太鼓の音、更に江戸川の夕暮れの風景・・・その全てが脳裏に焼き付き、心にすーっと染みこんでいきました。本当に、本当に楽しい柴又でした。この素晴らしい日に感謝。